
前回の記事では、起立性調節障害(OD)の症状を悪化させる大きな要因としてのストレスについてお話ししました。ストレスが自律神経に悪影響を及ぼすことでODの症状を増幅させるのでした。
さらに、それらに対処するための「ストレスコーピング(対処法)」の重要性を強調しましたね。
そして、その中で「ストレスコーピングは質より量が大切」というポイントをお伝えしました。ストレス源が多様であるように、コーピング(対処法)も多様に用意しておく必要があるんですね。
そこで今回は、アメリカカウンセリング学会(ACA)の「100のストレス軽減法」を参考に、ストレス軽減に役立つ具体的な方法を紹介していきたいと思います。
ACAは9つのカテゴリーに分類し、計100個のストレス低減法を紹介しています。
9つのカテゴリーは以下の通りです。
1. 環境的戦略 (Environmental Strategies)
2. 認知的戦略 (Cognitive Strategies)
3. 創造的戦略 (Creative Strategies)
4. 身体的戦略 (Physical Strategies)
5. ユーモア戦略 (Humorous Strategies)
6. スピリチュアル戦略 (Spiritual Strategies)
7. 管理戦略 (Management Strategies)
8. 人間関係戦略 (Relational Strategies)
9. アウトドア戦略 (Outdoor Strategies)
今回は「環境」「認知」「創造」の3つに焦点を当てて解説していきます。
質より量ですから、自分の武器になりそうなものがないかチェックし、自己流にアレンジするなど、参考にしてみてください。
環境的戦略 (Environmental Strategies)
1. 今、ここを楽しむ
過去(後悔)や未来(不安)に囚われず、今この瞬間を意識し、ただ「いる」ことに集中する。
2. 香りの良いキャンドルを灯す
心地よい香りと炎の揺らぎがリラックス効果をもたらす。
3. アロマセラピーを試す
精油やアロマディフューザーを活用して心を落ち着ける。香りは即効性があります。私はマスクにオイルを垂らすなどして活用しています。
4. パンやクッキーを焼く
料理は手順などで頭を使うので、余計な考えをせず没頭しやすいのに加え、達成感も得られます。
5. 照明を調整する
部屋を明るくしたり、間接照明を使って落ち着いた雰囲気を作ります。リラックスしたいときはオレンジ目の照明の方が良いです。蛍光灯は逆に交感神経が興奮することもあるので、勉強タイムとリラックスタイムで光の色を使い分けるとGOOD!
6. 花を植える
ガーデニングを楽しみながら、自然に触れることで癒しを得られます。
7. 自分に花束を買う
自分への小さな贈り物として花を飾ります。花に限らず好きなチョコレートなどでも良いかと思います。
8. お気に入りコレクションを作る
心が和むものを集めて楽しみます。私は小さいボールを集めたり、良い感じのしおりを集めたりしています。
9. 鳥の餌箱を設置して観察する
鳥たちの動きを眺めることで、リラックスした気分になります。
10. 日光の下で読書をする
自然の光を浴びながらリラックスした時間を過ごします。太陽光を浴びるのも読書もストレス低減効果があります。
11. 温かい飲み物や冷たい飲み物を味わう
一杯のお茶やコーヒーをゆっくり味わいます。この時間はコーヒーを味わうだけの時間と割り切って、それだけに集中するとよりGOOD!
12. ブランケットに包まりながら本を読む
心地よい布にくるまりながら読書することで、リラックスできます。
環境的戦略は、ストレス軽減のために「心地よい空間を作る」ことに焦点を当てています。視覚的な美しさや香り、触感、音など、五感を刺激することで、リラックス効果を最大化することが狙いです。どの方法も簡単に取り入れられるため、日常生活の中でぜひ試してみてください。
認知的戦略 (Cognitive Strategies)
13. 問題を再解釈する
問題の見方を変えて、新しい視点で捉え直します。例えば、問題を挑戦や成長の機会と考えるよう、認知を再構成します。
14. ポジティブな思考を選ぶ
否定的な思考を意識的にポジティブな方向に切り替えるようにします。例えば、失敗を恥と考えず、学習データと考える。
15. ポジティブな言葉を考える
自分自身が心が落ち着く言葉を心の中で繰り返します。
完璧主義傾向のある私は「人間誰しも不完全。不完全の中でどれだけできるか。」といった言葉をよく想起します。セルフコンパッションの〈共通の人間性〉を思い出すのが目的です。
16. ポジティブなアファメーションを実践する
「私は目標達成に十分な可能性を持ち合わせている。」「少しずつ成長している。」などの前向きな言葉を繰り返して、自信を高めます。(アファメーションとは、自分自身を前向きに変えるための「肯定的な自己宣言」のことです。)
17. 自分の考えに責任を持つ
人の考えや意見に流されるのではなく、自分自身の考えに基づいた行動を選択することが重要です。(もちろんそれには責任がつきものですが、自分の人生は自分で選択したいところです)
18. 現実的な期待・目標を持つ
非現実的な目標や期待を抱かず、実現可能な目標を設定します。ウィリアム・ジェームズという心理学者は⦅自尊心=成功/目標⦆という公式を提唱しました。これに従うと、分母である目標が大きすぎると自尊心は低下してしまいます。
19. 望む結果をイメージする
目指すゴールや理想的な結果を具体的に心の中で描きます。具体性が高いほどGOOD!
20. アファメーションを鏡に貼る
励ましの言葉や目標を書いたメモを鏡に貼って、日々確認します。接触回数を増やすことが重要です。
21. パズルやゲームをする
思考をリセットし、リフレッシュするために頭を使う楽しい活動に取り組みます。やっている最中はネガティブな思考が入る余地のない活動が望ましいです。
認知的戦略は、ストレスに対する感情的な反応をコントロールするために、自分の考え方や情報の受け取り方を変えることを目的としています。問題に対する新しい見方を見つけたり、ポジティブな言葉を活用することで、ストレスに対する耐性を高め、前向きな気持ちを保つことができます。日常生活にこれらの方法を取り入れて、より穏やかな心を保つ習慣を作りましょう。
創造的戦略 (Creative Strategies)
22. 日記を書く
自分の思いや感情を書き出すことで、心の整理やストレスの発散をします。
23. 手紙を書く
誰かへの感謝や気持ちを伝える手紙を書く。感謝を見つけ、伝えることは、相手との関係性を強化するだけでなく、自分は1人じゃなく、誰かとの関係の中で生きている再認識ができるという意味でも効果的です。
24. 絵を描く
技術に関係なく、自由に絵を描くことで感情を表現します。
25. スケッチをする
紙と鉛筆で気軽にスケッチし、頭の中をリフレッシュさせます。
26. 写真撮影に没頭する
美しい景色や日常を写真に収めて、時折見返すのも楽しいです。
27. 陶器を作る/粘土で作業する
粘土を触る感触や形を作る楽しみを味わいます。
28. 編み物/かぎ針編み/刺繍をする
手を動かしながら、集中力とリラックスを同時に得られます。
29. ペットを撫でる
動物と触れ合うことで、癒しと穏やかな気持ちを得ます。
30. リラックスできる音楽を聴く/作曲する
好きな音楽に身を委ねたり、創作することでストレスを軽減します。
31. 楽器を演奏する
ピアノ、ギター、ドラムなど、自分の好きな楽器を演奏して心を和らげます。
32. コンサートに参加する
音楽をライブで楽しむことで、非日常のひとときを味わいます。
33. 新しい趣味を始める
未体験の活動に挑戦し、新しい楽しみを見つけます。
34. ガーデニングをする
植物を育てることで自然に触れ、達成感と癒しを得ます。
創造的戦略は、アートや趣味を活用して感情を外に表現し、ストレスを軽減する効果があります。これらの活動は、自分の気持ちを整理するだけでなく、新しい視点を得るきっかけを提供します。また、結果よりもプロセスを楽しむことが重要であり、リラックスしながら自己表現を楽しむことができます。
特にODの人は過剰適応性格で感情を抑制する習慣が完成している方が多いのでアートを通じて自己表現することは効果的です。日常生活に取り入れて、自分らしい創造的な時間を楽しみましょう。
まとめ
「心地よい環境を整える」「考え方を少し変える」「創造的な活動を楽しむ」など、多角的な方法を試すことで、より効果的にストレスに対応できるようになるはずです。小さな工夫が大きな変化を生む一歩となるよう、ぜひ実践してみてください!
ではまた!
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