ラジオ体操といえば、体育の時間に、何となくやらされていたウォーミングアップの一環、といった印象があります。同じように「めんどくさい、ダルい」といった印象の方も少なくないのではないでしょうか。
しかし実は、ラジオ体操は「全身の筋肉をバランスよく動かすための、非常に理にかなった運動」なんです。しかも、たった3分、特別な道具も不要、家の中でもできます。
この記事では、ラジオ体操がなぜ「良い運動」なのか!についてみていきます。
「軽い運動」ではない!?意外とガッツリ全身運動
ラジオ体操第一は、全13種類の動きで構成されています。一見、軽やかで誰でもできそうな動きに見えますが、実際には以下のように、全身をまんべんなく動かす構成になっています。
- 首、肩、胸、腰、足首まで全関節を動かす
- 大きく伸びたり反ったりして背筋や体幹を使う
- 弾む動きで下肢の筋力も刺激
ある調査では、ラジオ体操第一(約3分)の消費カロリーは、体重50kgの人で約15kcal前後ですが、継続することで筋肉量の維持・姿勢改善・柔軟性アップに効果があるとされています。
特に注目すべきは、姿勢筋(インナーマッスル)に働きかける動きが多く含まれている点です。呼吸を整え、体幹を使いながら全身を伸ばすことで、年齢問わず「健康の土台」となる運動になりえます。(特に運動習慣のない人にとって)
「筋トレ+ストレッチ+有酸素運動」が一度にできる
- 筋トレ的要素:反動を使ったジャンプや腕回し、日常生活ではあまり動かさない筋群を使うことで、下半身や上肢の筋力維持につながる
- ストレッチ的要素:肩甲骨まわりや股関節、体側など、普段動かさない部位をしっかり伸ばす
- 有酸素運動的要素:呼吸を意識しながら動くことで、軽い心肺機能のトレーニングになる
つまり、短時間ながら「総合的な健康づくり運動」として非常に優れているのです。
起立性調節障害(OD)やPOTSの方にもおすすめ
私自身、重度の起立性調節障害(OD)を経験したことがあります。その経験からも感じるのは、「急に激しい運動は無理だけど、何もしていないと、どんどん体力が落ち、症状が悪化してしまう」という現実です。
ラジオ体操は、以下の点で、OD患児にとっても有効です。
- 座ったままでもできる動作が多く、椅子に座ったバージョンも存在するのでOD患児にとっても、その時の体調に合わせて難易度調整がしやすいです。
- 血流が滞りやすい下半身のポンプ機能(ふくらはぎ)を刺激できる。
- 朝の交感神経活性化にもつながる。
継続しなけりゃ、どんどんデコンディショニングが進んでしまう
ベッドでの生活が1週間程度続くだけで、OD症状は悪化してしまいます。その為、できる限り毎日、生活の中に軽い運動を取り入れることが望ましいです。
そこで続けるコツは「完璧を目指さない」ことです。OD患児に多い性格傾向の一つに完璧主義的な思考があります。「全部きっちりやらなきゃ」と考える人は、「きっちりできないなら辞めておこう」といった思考が湧き、後回しになり、結局しません。
そこで私がおすすめしたいのは、以下のようなゆるいスタイルです。
- 体調が悪い日は“腕だけ”参加でもOK
- 寝る前のストレッチ代わりに軽くやってもOK
- YouTubeやNHKの動画に合わせて気楽に行う
- きっちりじゃなくても、全くしないよりは全然良い
もちろん、踵の上げ下げや関節の伸びなど、細部にこだわり、きちんとした動作を再現することで、最大限の効果が期待できます。しかし、OD患児にとって、完璧を目指すよりも重要なのは「体を動かす習慣をつくる」ことです。
まとめ
- ラジオ体操は誰にとっても“良い運動”になり得ます。
- 特に、体調に波のある方(ODやPOTS、慢性疲労など)にとっては、無理なく取り組める運動の入り口として非常におすすめです。
- ラジオ体操は、ただの昔ながらの体操ではありません。運動生理学的にも、「健康の土台を作るシンプルで優れた運動」です。
- 「運動しなきゃ」と気負わず、「今日はちょっと体操してみようかな」くらいの気持ちで、ぜひ始めてみてください。
ではまた!

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