左鼻呼吸で安眠?「チャンドラ・ナーディ・プラーナーヤーマ」の驚くべき効果

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「起立性調節障害(OD)」患児の多くは夜間に交感神経活動が活発になることで、就寝時間が後ろ倒しになってしまうことが多々あります。今回は、インドの伝統的な呼吸法「チャンドラ・ナーディ・プラーナーヤーマ(左鼻呼吸)」が、そうした循環器系の調整に与える即時的な影響について、International Journal of Yogaに発表された研究を紹介しつつ、ODに役立てられるかを考えます。

チャンドラ・ナーディとは?

「ナーディ」とは、サンスクリット語で「道、脈官」の意味を持ち、インド伝統医学アーユルヴェーダで「気(プラーナ)の通り道」とされるエネルギーラインのことを指すようです。その中で「チャンドラ・ナーディ」は左鼻に対応し、副交感神経を活性化させるとされています。チャンドラは「月」を意味し、冷静さや鎮静をもたらす働きがあると信じられているようですね。

研究の概要

目的: 本態性高血圧症患者に対し、チャンドラ・ナディ・プラナヤマ(CNP、27回の左鼻孔のみの呼吸)が心血管パラメータに与える即時的な影響を明らかにすること。

方法: 標準的な薬物治療を受けている本態性高血圧症患者22人を対象に、毎分6回のペースで27回CNPを行うよう指導した。介入前後に心拍数(HR)と血圧(BP)などの心血管系パラメータを測定し、介入前後で比較した。

結果: CNPの実施後、測定されたすべての心血管パラメータに即時的な低下が見られた。

その仕組みは?

著者らは、左鼻呼吸は、副交感神経系(リラックス系)を優位にし、これにより交感神経(緊張系)によって上昇していた血圧や心拍数が抑えられると考えているようです。

実際にどう行う?

右手の中指、人差し指を眉間に当て、親指で右鼻腔を塞ぐ。

呼吸に意識を向けることで、マインドフルネスの効果も期待できます。

今回の研究では、左鼻腔のみでの呼吸法の長期的な効果はみておらず、即時的な効果があるんだと述べています。

つまり、我々のようなOD患児の、夜間に交感神経が優位になり、全く眠気がおきない状況に対しての一手となる可能性があります。

このような「呼吸を使った自律神経トレーニング」は、お金も場所も必要なく、コストをかけないでできる介入方法なので、ぜひお試しあれ。

注意点とまとめ

この呼吸法は即効性があり、副作用も少ない安全な方法ですが、苦しくない程度で行うようにしましょう。また、呼吸によって心拍が下がりすぎたり、めまいを感じるようであれば中止してください。

心身を整えるシンプルな方法として、チャンドラ・ナーディ・プラーナーヤーマは、ODや自律神経の乱れに悩む方にとって、生活の中に取り入れやすいセルフケア法の一つです。ぜひ、日々の習慣にしてみてはいかがでしょうか。

ではまた!

Bhavanani AB, Madanmohan, Sanjay Z. Immediate effect of chandra nadi pranayama (left unilateral forced nostril breathing) on cardiovascular parameters in hypertensive patients. Int J Yoga. 2012 Jul;5(2):108-11. doi: 10.4103/0973-6131.98221. PMID: 22869993; PMCID: PMC3410188.

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