結局、起立性調節障害ってどんな病気か②

Uncategorized

前回「結局、起立性調節障害ってどんな病気①」では、

小児起立性調節障害診療ガイドライン 改定第3版に記載されている説明である、

起立に伴う循環動態の変化に対する生体の代償的調節機能何らかの原因で破綻して生じたもの

のうち、起立に伴う循環動態の変化生体の代償的調節機能についてみてきました。

そこで今回は

何らかの原因って何か?

についてみていきたいと思います。

何らかの原因って何か?

起立性調節障害の原因は、生物学的異常心理社会的関与の2つの軸で捉えようと試みます。

生物学的異常とは

遺伝的傾向:

病気になりやすい体質や性質が、親子間で遺伝する(受け継がれる)。

起立性調節障害には遺伝的傾向があることが示唆されています。

しかし遺伝は、絶対ではありませんし、仮に遺伝子を親から受け継いでいたとしても、発現するかどうかは環境や生活習慣による影響を強く受けます。

( 余談ですが、私が高1の時に、現在の担当医に出会う前、母と色んな病院を巡っていた時のことです。私の母が、ある医者から「お母さんは若い頃とか、同じような経験はなかったですか?」と聞かれました。心当たりがあったようなので「はい。ありました。」と答えると、「遺伝でしょうね。こういった症状は遺伝しますから。」と言われました。

その後、母が、病院の待合室で私に対して泣きながら「ごめん。代われるなら代わってあげたいんやけど、ごめんな」と言ったことを鮮明に覚えています。

母にとって相当苦しかったのだと思うと今でも胸が痛いです。 )

ただ、父と母から受け継いだ膨大な量の遺伝子情報には、当然プラスに働きやすい情報もあればマイナスに働きやすい情報もあり、プラスに働いて恩恵に預かっていることを無視して、この病気になりやすい体質の遺伝だけに焦点を当てるのは間違っているように思います。

また上でも述べたように、遺伝情報を受け継いでいようが、その情報が発現するかどうかは環境や生活習慣など様々な要因の影響を受けます。

私たちにできることは、受け継いだものの中で、最善の自分を引き出すことだと思います。

なので、遺伝的傾向が示されていることは事実ですが、子が親を責めたり、親が責任を感じ落胆することは避けられると嬉しいです。

急速な成長に対する不適応:

青年期に伴う神経系・内分泌系・循環器系の急速な変化(成長)に伴う、一過性の自律神経の不均衡を原因とするDevelopmental POTSという概念がGrubbらによって提唱されています。

心理社会的関与とは

まず起立性調節障害は心身症に位置付けられています。

日本心身医学会によると、

心身症とは、身体疾患の中で、その発症や経過に心理社会的因子が密接に関与し、その診断と治療に心理学的アプローチが必要とされる病態を指す。とされています。

つまり、うつ病や不安障害などの精神疾患とは区別される一方で、心理的な因子が身体にも反映されるわけですね。

これには、精神ストレス→扁桃体(上位中枢)→視床下部(自律神経、下位中枢)といった関係が考えられていますが、

要は「起立性調節障害は自律神経機能失調が主な原因の病気で、心理社会的なストレスは自律神経を介して身体症状に影響を与えているんだ」と捉えておくとOKです。

過剰な心理社会的ストレスが自律神経系に与える影響を介して、代償機構が破綻するわけですね。

このように起立性調節障害は、生物学的機能異常(からだ)心理社会的な要因(環境・こころ)がさまざまな程度で混ざり合った幅の広い病態であるため、人によって有効な治療法も異なってくるというわけですね。

だからこそ、起立性調節障害という病気自体を理解し、その上で自分の症状について把握することが重要なわけです。

ではまた!

コメント

タイトルとURLをコピーしました