起立性調節障害あるある_(認知の歪み)

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心身の健康に多大な影響を与える「認知の歪み」について、前回はどのようなものが存在するのかを、認知の歪みリストとして紹介しました。

「認知の歪み」について簡単に振り返っておくと、

「認知の歪み」とは、物事の捉え方が非現実的・非合理的に偏ってしまうことを指します。これにより、不安や自己否定が強まり、結果として過度なストレスや恐怖心で行動できない(不活動)を招くことがあります。

認知行動療法(CBT)では、この「歪んだ認知」を気づき、修正していくことで、現実を正しく認知し、機能的な思考により、行動の幅を広げることを目指すのでした。

ODあるある_12の認知の歪み

本記事では、起立性調節障害に関連しやすい12の「認知の歪み」とその修正例を、私の実体験なども踏まえつつ、学生(本人)の立場と親の立場でそれぞれ考えていきたいと思います。

1. 全か無か思考(白黒思考、二分割思考)

物事を極端に「良い・悪い」で判断し、柔軟に考えられない思考パターン。

学生の例

「今日も朝起きられなかったから、今日もダメな1日だ。」

→ 修正案:「朝起きられなかったけど、昼からでもやれることを始められるかもしれない。」

親の例

「この子は学校に行けないから、将来何もできない子になる。」

→ 修正案:「学校に行けなくても、学び方や社会参加の方法はいろいろある。この子に合った方法を探していこう。」

ポイント:ほとんどの物事は、完全に良いわけでも完全に悪いわけでもありません。部分的に良い面を見つけてみましょう。

2. 破局視(運命の先読み)

未来を悲観的に予測し、希望を持てない思考。

学生の例

「このまま朝起きられないと、高校や大学に行けなくて、惨めな人生になるだろう。」

→ 修正案:「今は朝起きるのが難しいけれど、治療やサポートで少しずつ良くなる可能性がある。横になりながらできることを考えてみよう。」

親の例

「今の状態がずっと続くなら、この子は一生社会でやっていけないだろう。」

→ 修正案:「つらそうだけど、サポートや治療で状況が変わる可能性はある。今できることを一つずつ進めていけばいい。」

ポイント:未来の出来事を100%予測することはできません。「今」に焦点を当ててできることを考えましょう。

3. 肯定的側面の否定や割引

成果や良い出来事を軽視し、自分や他人を評価できない思考。

学生の例

「今日は昼から起きて勉強できたけど、朝は起きられなかったからダメだ。」

→ 修正案:「昼から勉強できたのは良いことだし、それが続けられれば少なくとも学業面ではもっと良くできる。」

親の例

「今日は少し勉強できたみたいだけど、たまたまだろう。期待しちゃいけない。」

→ 修正案:「今日は少しでも勉強できたのは成長の一歩。今日の成果を喜ぼう。」

ポイント:良い出来事を正当に評価することは、モチベーションの向上につながります。

4. 感情的理由付け

感情を事実と捉えてしまう思考。

学生の例

「朝起きるのがつらいのは、自分が弱いから。自分は怠け者だ。」

→ 修正案:「朝起きるのがつらいのは病気のせいで、自分の努力だけで解決できるものではない。」

親の例

「この子がやる気がないから学校に行けないんだ。」

→ 修正案:「体調や心の問題が原因で学校に行けない可能性が高い。病気についての理解をもう少し深めてみよう。」

ポイント:感情は感情として認めつつも、冷静に事実を見る=感情・思考・事実を区別してみる。

5. ラベリング(レッテル貼り)

自分や他人に否定的なレッテルを貼る思考。

学生の例

「自分は病気だから弱い人間だ。」

→ 修正案:「今は難しいけど、少しずつできることを増やしていけばいい。」

親の例

「この子は怠け者だ。」

→ 修正案:「怠けているように見えるのは、体調が悪いからかもしれない。」

ポイント:固定観念・常識や世間体に囚われていないか。

6. 拡大視/縮小視

問題を大げさに捉えたり、小さく見積もる思考。

学生の例

「今日学校を休んだから、先生も友達も自分のことをもう見損なったに違いない。」(拡大視)

→ 修正案:「今日休んだことだけで関係が壊れるわけではない。自分のことを理解してくれる人もいるはずだ。」

親の例

「この子が一度遅刻しただけで、もう学校生活は無理だ。」(拡大視)

→ 修正案:「遅刻はあったけど、通学の途中まで行けたのは進歩。少しずつ慣れていけるかもしれない。」

7. 心のフィルター(選択的抽出)

悪いことだけに注目し、良いことを無視する思考。

学生の例

「今日友達と話せたのに、帰り際に少し気まずくなったから、もう関係が壊れたんだ。」

→ 修正案:「少し気まずいこともあったけど、楽しく話せた時間もあった。それが大事だ。」

親の例

「この子は今日遅刻したから、全体的に何も改善していない。」

→ 修正案:「遅刻はしたけど、学校まで行けたのは進歩。」

8. 読心術

相手の気持ちを勝手に推測し、ネガティブな解釈をする思考。

学生の例

「親は本当は自分のことを怠けていると思っているんだろう。」

→ 修正案:「親が不安そうに見えるのは、自分のことを心配しているからかもしれない。」

親の例

「この子はきっと自分(親)を責めているに違いない。」

→ 修正案:「この子が何を考えているか本当のところはわからない。今度ゆっくり話を聞いてみようか。」

9. 過度の一般化

一つの出来事で全体を判断する思考。

学生の例

「昨日上手くいかなかったから、きっと今日もうまくいかない。」

→ 修正案:「昨日はうまくいかなかったけど、次は別の方法で挑戦すれば改善できるかもしれない。」

親の例

「この子は前もこうだったから、これからも何も変わらない。」

→ 修正案:「今は難しい時期だけど、過去と未来が必ず同じとは限らない。」

10. 個人化

自分の責任ではないことを、自分のせいだと考える思考。

学生の例

「親が悲しそうなのは、自分が起きられないせいだ。」

→ 修正案:「親が悲しそうに見えるのは、どうサポートすればいいかわからず困っているのかもしれない。」

親の例

「この子がこうなったのは、自分の育て方が悪かったせいだ。」

→ 修正案:「この子が病気になったのは環境や体質、さまざまな要因が重なったもので、必ずしも自分だけの責任ではない。」

ポイント:すべてを自分の責任と考えることは負担が大きすぎます。問題を冷静に分析し、どの部分が自分に関係するのかを考えましょう。

11. べき・ねば思考(命令型思考)

自分や他人に対して「〜すべき」「〜でなければならない」と厳しく縛る思考。

学生の例

「朝はきちんと起きるべきだし、普通の子のように学校に行くべきだ。」

→ 修正案:「自分のペースでできる範囲から始めればいい。少しずつ調子を整えていこう。」

親の例

「親としてもっと厳しくするべきだった。」

→ 修正案:「厳しくするより、この子の状況を理解して寄り添うことが大切だと思う。今からでもできることを探そう。」

ポイント:「べき」「ねば」という思考は、自分や他人を追い詰める原因になりがちです。柔軟な視点を持ち、自分の価値観に合った選択を大切にしましょう。

12. トンネル視

一部の状況や側面だけに注目して、全体を見失う思考。

学生の例

「これから自分が将来つける仕事は限られている。」

→ 修正案:「今はつらいけど、治療やサポートを受けて状況が変わる可能性もある。」

親の例

「この子が今学校に行けていない現状が全てだ。この影響は一生背負うもので未来に良くなるなんてありえない。」

→ 修正案:「今は学校に行けなくても、将来の可能性はたくさんある。ゆっくり進んでいけば良い方向に向かうこともある。」

ポイント:狭い視点に囚われず、状況の全体像を意識してみましょう。問題は一時的なものであり、変化する可能性があることを忘れないでください。

まとめ

「認知の歪み」は、起立性調節障害だけでなく、家族間の関係や日常生活にも影響を与えます。私自身、いまだに認知の歪みに囚われることもあります。しかし認知行動療法(CBT)を活用することで、まずは「歪み」に気づき、修正していくことで、その頻度は格段に減っていることを実感しています。

今後、実践例なども紹介していければと考えていますので、よろしくお願いします!

ではまた!

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