はじめに
名言や偉人の格言というのはその人の人生が反映されていて面白いです。
人は苦境に立たされると視野が狭くなりがちですが、そこに新たな視点を与えてくれ、苦境を乗り越えるヒントをくれたりもします。
これまで、起立性調節障害(OD)に認知行動療法(CBT)は有効で、認知行動療法と名言は親和性が高いので、いろんな名言を知ることで回復のきっかけになり得ることを説明しました。
CBTの手法の一つに〈希望の言葉〉を集め、持ち歩くといった方法があります。ネガティブな呪いの言葉が脳内に流れたら、集めた希望の言葉を見返し、非機能的な(何も生み出さない)思考を、機能的な思考に修正していこうという訳です。
私自身も実践している方法ですが、自分で希望の言葉を生み出すのはそう容易いことではないので、以下に紹介する名言・格言にヒントを得つつ、自分が希望を抱ける言葉に編集し、自分のものにしていってもらえたらと思います。
どんなに暗い夜でも、星は輝いている。
ラルフ・ウォルド・エマーソン(Ralph Waldo Emerson)
エマーソン(1803-1882)は、アメリカの思想家・詩人・作家であり、個人の自由と精神の成長を強く説いた人物です。この言葉は、「苦境に立ち、目の前が真っ暗になっていたとしても、よくよく探せば小さな希望の光は必ずある」というメッセージを伝えています。
ODに対しての有効性
ODの症状が続くと、「今の自分の状態には何の意味もない」と感じてしまうことがあります。私自身も高校時代に「死にたい。」とは思いませんでしたが、「死んでいるのと同然だ」と感じる時期はありました。しかし、この言葉は「どんなに暗い時でも、希望はあるんだ」と教えてくれます。
CBT的視点
CBTでは、「ネガティブフィルター(Negative Filtering)」という認知の歪みが問題視されます。これは、悪いことばかりに目を向けてしまう思考パターンです。
この言葉を思い出すことで、「今のつらい状況の中にも、何か小さな良いことがあるかもしれない」と考えやすくなります。
「あなたが人生に絶望しても、人生はあなたに絶望しない。」
アントン・チェーホフ(Anton Chekhov)
チェーホフ(1860-1904)は、ロシアの劇作家・小説家であり、人間の心理を鋭く描く作品を数多く残しました。彼は厳しい環境の中で医者として働きながら作家活動を続け、「人生には苦しみもあるが、それを受け入れて進むことが大切だ」と説いていました。
この言葉は、「どんなに絶望的に思える時でも、人生そのものは終わらず、続いていく」という意味を持っています。
ODに対しての有効性
ODの症状が長引くと、「もう何もかも嫌だ」「この状態がずっと続くなら、何もしたくない」と感じることがあります。しかし、この言葉は「人生は終わりではなく、まだ続いていく。そして今の自分も長い人生にとっては一要素なんだ」という視点を与えてくれます。
まさに狭まった視野を広げてくれる名言だと思います。私はよくおじいちゃんになって孫に人生を語る時を想像します。そうすれば今の苦しい経験も自分の人生を豊かなものにする一つの要素なんだと俯瞰できる感覚を持てます。ぜひお試しください!
CBT的視点
CBTでは、「絶対思考(All-or-Nothing Thinking)」という認知の歪みを修正することが重要です。「今がダメだから未来もダメだ」と考えるのではなく、「今はつらくても、未来には変化がある」と捉えることで、気持ちが軽くなります。
ではまた!

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