「朝、信じられないくらい体が重く動かない…」「体を起こしても立ちくらみ、動悸、吐き気で学校に行けない…」
私の高校時代はそんな毎日でした。今でもセルフケアを怠り、体を追い込むと、体が重く、浮遊感を感じたり、ODの症状が出ることがあります。
起立性調節障害は、自律神経がうまく働かず、血圧や心拍、脳血流などの循環系調節が破綻ことで起こる疾患です 。頭痛、吐き気、疲れやすさや集中力の低下など、日常生活にも大きな影響を与えます。
自律神経のセルフケアを取り入れることで、すぐにODが治るわけではありませんが、自律神経について知り、整える努力をすることは、症状を和らげたり、治療していく上で重要です。たとえば、運動・食事・生活習慣・呼吸法など、ちょっとした工夫が体の調子を良くする手助けになります。
ということで、以前より、科学的に効果が期待できるセルフケアや実際に自分が効果を実感しているセルフケアを紹介しています。「少しでも今より元気に過ごしたい!」と思う方に役立つ情報をお届けするので、ぜひチェックしてみてください。
さて、前回、自律神経を整える朝の習慣ということでいくつか紹介しましたが、今回はその続きです。
朝日を浴びる
起床後できるだけ早く太陽光を浴びましょう。外にでて軽く散歩ができるとベストですが、まずはカーテンを開けて太陽光にあたることが重要です。
一般的に人間の体内時計(サーカディアンリズム)は24.2時間であり、ズレているのですが、ODの人ではさらに大きなズレを抱えていることが示唆されています。
そこで、朝、太陽光が目の奥にある視交叉上核に送られることで、体内時計がリセットされると考えられています(Brainard et al., 2001)。
この際、部屋の光では不十分で、例え外が曇っていても自然光を浴びるのが理想です。
呼吸をコントロールする
一般的に、自律神経の働きは無意識的(自動的)に制御されており、例えば「心臓の拍動」「消化の進行」「血圧の調整」などは意識的にコントロールできません。
しかし、呼吸は例外的に、無意識的にも行われながら、意識的に調整することも可能な生理機能です。
それゆえ、自律神経活動が呼吸に影響する一方で、呼吸を制御することで自律神経系にアプローチすることが可能です。
ということで、呼吸と自律神経の基本的な関係性を理解しておきましょう。
交感神経が活性化→呼吸が浅く速くなる
意識的に呼吸を速める→交感神経活動が亢進し、覚醒レベルが上昇する
副交感神経が活性化→呼吸は深くゆっくりになる
意識的に深くゆっくりな呼吸にする→副交感神経が活性化し落ち着く
また、息を吸うときに交感神経が刺激され、息を吐くときに副交感神経(迷走神経)が刺激されると覚えておきましょう。
以上のことを踏まえると、
緊張したときは深くゆっくりな呼吸を意識することで交感神経のトーンを下げ、副交感神経のトーンを上げ、過緊張状態は避けながら、丁度良い覚醒度に調整するといいでしょう。
朝目覚めたときは、ODの場合、交感神経の活動レベルが低いことが考えられるので、【4秒吸って、4秒止める、4秒吐いて、4秒止める】を繰り返すのがおすすめです。
呼吸法に関しては奥が深く、私自身今でも意識しており、いろんな局面で役に立つと実感しているので、また別の機会に取り上げようと思います。
ではまた!
Brainard, G. C., et al. (2001). “Action spectrum for melatonin regulation in humans.” Journal of Neuroscience 21(16), 6405-6412.

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