起立性調節障害になりやすい人の特徴と〈セルフケアの重要性〉

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Key Word:性格傾向・セルフケア・ストレスマネジメント・認知行動療法

以前、起立性調節障害は身体疾患でありながらも、心理社会的ストレスが自律神経を介して症状を増幅させることもあるんだ!と述べました。

私自身が、起立性調節障害の発症に心理社会的ストレスがどの程度関与していたかは分かりませんが、重症度が高く、吐き気や頭痛などの身体症状が激しい状態が長く続いて、日常生活への影響が長引いてくると、不安や焦りが大きくなっていき、二次的に心理社会的ストレスを抱えていたことは明らかだと感じています。

以前、カルテ開示請求をした際に分かったのですが、高校生のある時期には「うつ」を合併していると診断されていました!!

起立性調節障害の重症度(日常生活への影響)が高くなったり、期間が長引くような場合、ストレスマネジメントを含むセルフケアは必須のスキルになってきます。

起立性調節障害になりやすい人の特徴

起立生調節障害になりやすい人は以下のような特徴があると言われています。

過剰適応性格

起立性調節障害を患う子の多くは、感情を抑制し周囲の期待に応えようとするなど、過剰適応な性格であることが多い。

成績優秀者

Kizilbash, S. J.らは起立性調節障害を患う人の多くは「成績優秀者」として特徴づけられると述べています。

これは一体なぜなんでしょうか?

その具体的なメカニズムは不明ですが、「常に100点を目指そう」といったような完璧主義的な思考などによって過剰な緊張状態を長期間にわたって受けた神経系は、ODにつながる神経伝達物質の異常を発症しやすいと考えられています。

一言で完璧主義と言えど、

自分自身に高い基準を設定してプレッシャーを感じたり、失敗を過度に恐れたり、他人にも高い基準を要求するなど様々な要素があると考えられています。

そんななか、他人の期待に過度に応えようとするタイプの完璧主義(まさに起立生調節障害になりやすい人の性格特性である過剰適応性格)は自殺へのリスクが高いという研究があります。

周囲の期待に応えないと!と思って行う完璧主義的な努力で、どんどん神経をすり減らしてしまうわけです。

完璧主義的な思考では非現実的な高い基準を設定してしまっているので、全体的に見れば比較的うまく行っていようが、必ず否定的な部分は見つかってしまいます。

つまり初めから勝ちが存在しないゲームに挑んでいる感覚です。 

かくいう私も「期待に応えないと!」っていう意識は強いタイプなので、気を付けています。

過剰適応性格(周囲の期待に応えようとする完璧主義的思考)が故に、神経をすり減らしながら無理をしてでも努力する。それ故、優秀な成績を収められる。しかし完璧になることなど永遠にないことに加え、この成績を維持しなければならないという重圧から、さらに神経をすり減らしながら追い込む。そして過剰な緊張状態を長期間にわたって受けた神経系は、ODにつながる神経伝達物質の異常を発症する。

といった一連の流れが推察できます。なんだか切ないですね…

このような頑張り方を続けていると、自殺までは行かなくても、燃え尽き症候群(バーンアウト)になってしまいます。

これを防ぐためにも、早めに対策を講じたいところです。

健全な努力を継続するために学んでおきたいこと

人の期待に応えたいから頑張ることを不健全だとは全く思いません。

しかし、それが過度になり体調を崩したり、自分の意思や考えなしに頑張ってしまうと、それは自分の人生ではなく、他人の人生を生きているようなものです。

ここで有効なのが認知行動療法です。

認知行動療法とは

非機能的な(正確でない、そして/あるいは、有用でない)思考や行動を修正し、抱えている問題を解決しようというものです。

その有用性は高く、うつ病や統合失調症などの精神医学的な障害から、癌による痛み、偏頭痛、高血圧症などの医学的問題、さらにスポーツ選手のパフォーマンス改善まで幅広くその効果が立証されています。

そして起立性調節障害に関しても、認知行動療法が有用な可能性があると述べられているんですね!!(小児起立性調節障害診療ガイドライン

また認知行動療法は科学的にその方法論が確立されているため、その手順通りに自分自身で取り組むことができるのもメリットのひとつかと思います。

(勿論、精神科に通院しカウンセラーに宿題として処方してもらい、一緒に取り組んでもらう方が効果は出やすく安心安全ではありますが)

といった感じで、今回はセルフケアや認知行動療法が重要だよって話をしてきました。今後は認知行動療法のワークや技法、セルフケアについて、科学的根拠と実体験を踏まえて紹介していきたいと思います。

では!!

Kizilbash, S. J., Ahrens, S. P., Bruce, B. K., Chelimsky, G., Driscoll, S. W., Harbeck-Weber, C., Lloyd, R. M., Mack, K. J., Nelson, D. E., Ninis, N., Pianosi, P. T., Stewart, J. M., Weiss, K. E., & Fischer, P. R. (2014). Adolescent fatigue, POTS, and recovery: a guide for clinicians. Current problems in pediatric and adolescent health care44(5), 108–133. https://doi.org/10.1016/j.cppeds.2013.12.014

Smith, M. M., Sherry, S. B., Chen, S., Saklofske, D. H., Mushquash, C., Flett, G. L., & Hewitt, P. L. (2018). The perniciousness of perfectionism: A meta-analytic review of the perfectionism-suicide relationship. Journal of personality86(3), 522–542. https://doi.org/10.1111/jopy.12333

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