起立性調節障害の症状悪化を防ぐ鍵:認知の歪みをチェックしよう

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起立性調節障害と認知の歪み

キーワード:非機能的思考、認知の歪み、ストレスマネジメント

起立性調節障害(Orthostatic Dysregulation: OD)は、身体的な疾患でありながら、自律神経を介して心理社会的ストレスの影響を強く受ける病気です。そのため、身体的な介入だけではなく、心理社会的なストレスに対するケアも重要な要素となります。

そこで今回は、認知行動療法において中心的な概念である「認知の歪み」について見ていきたいと思います。

そもそも認知の歪みとは何か?

「認知の歪み」とは、物事を非機能的(正確でない、または役に立たない)に解釈してしまう思考の偏りのことです。この偏りによって、ネガティブな感情や行動が引き起こされ、結果的にストレスが増幅されてしまいます。

代表的な認知の歪みリスト(自分の歪みをチェック)

以下に、代表的な「認知の歪み」をリスト化しました。

それぞれに具体例を挙げていますので、ご自身に当てはまるものがあるかチェックしてみてください。

1. 全か無か思考(白黒思考、二分割思考)

状況を連続的に捉えようとせず、極端なカテゴリーで捉えること。

二者択一的に見る思考。

• 「今日は学校に行けなかったから、最悪な日だ。」

• 「少し体調が良くなっただけでは意味がない。完全に治らないと価値がない。」

2. 破局視(運命の先読み)

未来を悲観的に予測し、現実的な可能性を無視して最悪の結果を想像してしまうことです。

• 「この病気のせいで将来もやりたい仕事に就けない。」

• 「試験に出られないから、もう進学できないだろう。」

3. 肯定的側面の否定や割引

自分の良い面や成功を軽視し、ネガティブな側面だけを強調してしまうことです。

• 「今日散歩ができたけど、他の人はもっと元気にやることやってんだから大したことではない。」

• 「人から褒められても、みんなが優しさで言ってるだけ。」

4. 感情的理由付け

自分の感じている感情を事実に違いないと思い込み、それに反する根拠を無視するか低く見積もる。

• 「こんなに不安だから、何か大きな問題があるに違いない。」

• 「落ち込んでいるから、私はきっと失敗ばかりしているんだ。」

5. ラベリング(レッテル貼り)

自分や他人に対して固定的で否定的なレッテルを貼り、合理的な根拠を考えずに判断してしまうことです。

• 「私は病気がちだから、何をしても最後は失敗する。」

• 「あの人は冷たい人だから、絶対に助けてくれない。」

6. 拡大視/縮小視

物事の否定的な側面を過剰に重視し、肯定的な側面を軽視することです。

• 「1回失敗しただけで、次からも失敗する気がする。」

• 「調子が良い日はあっても、それはただの偶然。」

7. 心のフィルター(選択的抽出)

全体像を見ず、否定的な情報だけに焦点を当ててしまうことです。

• 「(ほんとは楽しいこともあったけど)今日は頭痛のせいで台無しだ。」

• 「家族が支えてくれるけど、周囲の人は理解してくれないに違いない。」

8. 読心術

他者が考えている内容を、他の現実的な可能性を考慮せず、決めつける。

そしてそれを事実だと決めつける。

• 「先生が声をかけてこないのは、私を嫌っているからだ。」

• 「友達が連絡をくれないのは、私のことを面倒に思っているからだ。」

9. 過度の一般化

一つの出来事を全体に当てはめ、ネガティブな結論を出してしまうことです。

一事が万事式に捉える思考。

• 「一度休んでしまったから、もう信用は完全に失った。」

• 「こんな簡単な失敗をしたから、私は何をしてもダメだ。」

10. 個人化

他人の行動や状況をすべて自分のせいだと捉えることです。

• 「家族が不機嫌なのは、私が朝起きれないせいだ。」

• 「友達が困っているのは、私が力になれなかったからだ。」

11. べき・ねば思考(命令型思考)

「~するべき」「~でなければならない」と厳格なルールを課し、それが守れないと自分を責めることです。

• 「ちゃんと起きて行動すべきなのに、できない私はダメだ。」

• 「家族のためにももっと頑張らなければならないのに。」

12. トンネル視

全体像を見ず、否定的な側面しか目に入らないことです。

• 「どんな治療をしても、結局悪化するだけだ。」

• 「体調が良くても、結局また悪くなるに決まっている。」

ネガティブバイアスの影響

今回は、代表的な認知の歪みを挙げてみましたが、こうやって見てみると「否定的」や「決めつけ(思い込み)」の要素が共通してみられますね!

人間にはネガティブバイアスがあることを考えると、こういった認知のあり方は決して不自然ではないように思いますが、過度になったり、決め付けになってしまうと問題なんですね!

ネガティブバイアスとは、ポジティブな情報よりもネガティブな情報に強く反応し、記憶や判断でネガティブな要素を重視する傾向のこと。これは進化的に危険を回避するために発達したと考えられていますが、過剰になると不安やストレスを増大させ、認知を歪める原因となってしまいます。

特にODのような状況では、このバイアスが強まり、認知の歪みを悪化させる原因となってしまいそうですよね。

まとめ

認知の歪みは誰もが抱えるものですが、ODによって一般的な学校生活を送れていない学生にとって、より発生しやすいように思います。しかし適切に修正することで、OD症状を軽減する手助けとなります。

私自身も、認知の歪みに関する自分の癖を一度特定したことで、次に同じ認知の歪みが現れたときに気付き対処しやすくなりました。

この記事を参考に、皆さんの認知の歪みが修正され生きやすくなれば幸いです。

ではまた!

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