
起立性調節障害(OD)の症状を悪化させる大きな要因としてストレスがあることは以前にお話ししました。ストレスが自律神経に影響を及ぼしOD症状を増幅させるのでした。そのため、それに対処するための「ストレスコーピング」の重要性についても述べてきました。
そして、その中で「ストレスコーピングは質より量が大切」というポイントをお伝えしました。ストレス源が多様であるように、対処法も多様に用意しておく必要があるんですね。
そして前回、アメリカカウンセリング学会(ACA)が発表している「9カテゴリー、計100個のストレス軽減法」のうち、環境的戦略 (Environmental Strategies)、認知的戦略 (Cognitive Strategies)、創造的戦略 (Creative Strategies)の3カテゴリーについて解説しました。
そこで今回は身体的戦略 (Physical Strategies)、ユーモア戦略 (Humorous Strategies)、スピリチュアル戦略 (Spiritual Strategies)の3カテゴリーについて解説していきたいと思います。
身体的戦略 (Physical Strategies)
35. ダンスをする
音楽に合わせて体を動かし、気分を高めながらストレスを発散します。リズム運動でセロトニンも分泌します。
36. 自転車に乗る
外の景色を楽しみながら、体を動かしてリフレッシュします。
サイクリングは私も好きなのですが、ODの人にはあまりお勧めできません。理由としては、OD患者の自転車事故の報告があるからです。自転車で運動している間は筋ポンプ作用によって心臓に血液が還流し、血圧・脳血流は維持されますが、信号で止まったり、下り坂で漕ぐことをやめると下肢へ血液が移動し、心臓・脳へ血液が供給できず失神し転倒した事例があります。十分に注意してください。
37. ランニングをする
体を動かすことでエンドルフィンが分泌され、ストレスが軽減されます。
38. 自然散歩/ハイキングをする
自然の中を歩きながら、心と体をリフレッシュさせます。
39. 犬の散歩をする
ペットと一緒に外に出て、運動と癒しを同時に得ます。
40. ウォーキング/マラソンイベントに参加する
目標に向かってトレーニングを行い、達成感と健康を得ます。
41. 水泳をする
全身を使った運動でリフレッシュしながら、筋肉の緊張を和らげます。
水中では水圧により心臓への血液還流が増加し、血圧・脳血流は維持されやすいので、OD患者にはお勧めされますが、水中から出た時には十分に注意して下さい。
42. シュノーケリングをする
水中でのリラックス感を楽しみながら、非日常の体験をします。
43. マッサージを受ける
皮膚刺激はリラックス効果があります(オキシトシン分泌etc)。
44. 自分で足をマッサージする
足の緊張をほぐし、リラックスしましょう。
45. 足を温かい水に浸ける
足湯を楽しみ、体全体をリラックスさせます。ODでは末梢の血流が低下していることが多いので、効果的です。私も冬の睡眠時には湯たんぽが必須アイテムです。
46. 蒸気たっぷりの泡風呂に入る
温かいお湯で体を癒し、非日常感でリラックスします。
47. ヨガのクラスを受ける
体の柔軟性を高めながら、深い呼吸で心を落ち着けます。ヨガ効果は研究でも実証されつつあり、Youtubeなどでも気軽にできるので試す価値はありだと思います。
48. 太極拳を練習する
緩やかな動きと集中を通じて、体と心を調和させます。
49. 漸進性筋弛緩法を実践する
体の各部分を順に緊張させてから解放し、筋肉の緊張を緩めます。
50. 深呼吸に行う
ゆっくりとした呼吸を行い、心拍を落ち着けます。目的に応じて様々な呼吸法が提唱されていますが、基本は吸って時に交感神経が優位に働き、吐いた時に副交感神経が優位に働きます。この為、緊張した状況では呼吸を吐く方を長くすると落ち着きます。
51. エクササイズビデオを試す
自宅で気軽に運動を楽しみ、リフレッシュします。エアロビの動画を家族で実践するのも楽しいです。運動が得意な人がリズム運動は苦手なパターンもあるので、コロナ期間に実践して楽しかった記憶があります。
52. 健康的な食事を選ぶ
栄養バランスの取れた食事を摂り、体の調子を整えます。食事の影響は大きく、血糖値の変動や腸内環境の悪化、慢性炎症などによる疲労感を軽減するのは効果絶大です。
53. 水を飲む
十分な水分補給を行い、体内環境を整えます。人間は2%の脱水で口渇感や運動能の低下が出始めます。特にOD患者は体水分量(循環血漿量)が少ないのが症状を誘発しますので、こまめな水分補給を行いましょう。
54. マルチビタミンを摂取する
必要な栄養素を補い、体調をサポートします。サプリメントでの摂取より食事から摂取することを心掛けましょう。(食事から摂取した方がバイオアベイラビリティ(吸収し利用する能力)が高く、サプリメントでは物によっては酸化している可能性もあるので注意が必要です。)
身体的戦略は、体を動かすことで心身をリフレッシュし、健康を保ちながらストレスを軽減する効果があります。運動やリラクゼーションは、筋肉の緊張をほぐすだけでなく、気分を改善することにも繋がります。日常生活に取り入れやすい方法から始めて、ストレス管理に役立ててみてください。
ユーモア戦略 (Humorous Strategies)
55. コメディ映画を観る
笑いを引き起こす映画を楽しむことで、気分転換を図ります。
56. シットコムを見る
シットコム(短いコメディドラマ:フルハウスやフレンズが有名だと思います)でリラックスし、笑いを誘うひとときを過ごします。
57. 漫画本を読む
ユーモアのある漫画やコミックで笑いを楽しみます。
58. 声に出して笑う
小さなことでも声を出して笑うことで、ストレスを発散します。
59. 友達に新しいジョークを話す
笑える話題を共有し、友人と一緒に楽しむ時間を作ります。
60. 友人と一緒に笑い合う
笑いの多い会話を通じて、ストレスを和らげます。
ユーモア戦略は、笑いの力を活用して緊張を解きほぐし、ストレスを軽減するシンプルかつ効果的な方法です。笑いには、心拍数を下げたり、筋肉の緊張を緩めたり、ポジティブな感情を促す効果があります。また、他者とのつながりを深める要素もあり、精神的な支えにもなります。日常生活にユーモアを取り入れ、笑顔の多い生活を目指しましょう。
スピリチュアル戦略 (Spiritual Strategies)
61. 祈る
静かな時間を持ち、心を落ち着けながら祈ることで内面の平和を感じます。
62. 瞑想する
深い呼吸と集中を通じて心をリセットし、リラックスします。
63. 感謝の気持ちを実践する
日々の小さな喜びや恵みに感謝することで、ポジティブな視点を育てます。
64. 宗教的な儀式に参加する
自分の信仰に関連する活動を通じて、精神的なつながりを深めます。
65. 喜びに満ちた歌や賛美歌を歌う
音楽を通じて心を高揚させ、ポジティブなエネルギーを得ます。
66. 他者を助けることを目指す
人助けは助けた側の幸福感を高めます。(ヘルパーズハイ)
日本人には少し馴染みのない感覚かもしれませんが、スピリチュアル戦略は、日常の忙しさから少し離れ、精神を整えるための方法です。祈りや瞑想、感謝の実践は、自分自身と深く向き合い、内面的な平和を得る助けになります。また、他者とのつながりや助け合いは、自分の存在意義を感じさせ、ストレス軽減に効果的なんですね。
ではまた!
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